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高精度表面波探査とは ↑上へ戻る

   

 高精度表面波探査は、地盤の地表付近を伝わる表面波(レイリー波)を多チャンネルで測定・解析することにより深度20m程度までの地盤のS波速度を二次元断面として画像化する技術です。測定・解析が簡単なため、素早く低コストでS波速度構造を求めることができます。S波速度は物質の硬さなど工学的な目安となる剛性率に直接関係する値であり、地盤の動的特性の把握・検討などには不可欠なパラメータですが、表面波探査を用いることにより広範囲のS波速度構造を簡単に把握することができます。

   

特 長 ↑上へ戻る

   
  • 地盤のS波速度を簡単に求めることができます。
  • 広い範囲を迅速かつ安価に調査できます。
  • 測定・解析が簡単です。
  • 解析結果はわかりやすいカラーS波速度断面図となります。
  • 火薬は必要ありません。
   

原 理 ↑上へ戻る

   

 不均質な地盤の表面付近を伝わる表面波(レイリー波)は、その波長(周波数)によって伝播速度が変化します。一般の地盤では、深度とともに弾性波速度が増加します。表面波は長い波長ほど深部の速度も反映するので、短い波長(高周波数)では速度が遅く、長い波長(低周波数)では速度が速くなります。波長(周波数)による伝播速度の違い(分散)を逆解析することにより、不均質な地盤のS波速度構造を求めることができます。
 従来の表面波探査では2,3個の受振器を用いて測定・解析を行っていましたが、高精度表面波探査では多数の受振器を用います。これにより、表面波の基本モードを確実に検出することができ、精度良く分散曲線を求めることができます。

   

測定方法 ↑上へ戻る

   

 高精度表面波探査の測定は、P波浅層反射法地震探査と同じような測定システムおよび測定方法を用います。受振器には4.5Hzの速度形ジオフォンを用い、0.5〜2m間隔で設置、24〜48チャンネルで測定します。起振点間隔は2〜5mとします。起振はカケヤもしくは重錘落下により行います。表面波の起振および測定は、反射波の起振・測定に比べて遥かに簡単であるため、反射法地震探査の測定よりも簡単に行うことができます。

   

解析方法 ↑上へ戻る

   

 得られた波形記録から共通起振点毎に周波数−見かけ速度分布に変換し、分散曲線を求めます。これに対して、非線型最小二乗法を用いた一次元の逆解析を施して一次元の速度構造(深度方向)を得ます。この一次元の速度構造を並べてカラー表示し、二次元S波速度構造とします。求めた構造に対して理論波形を計算することができますので、観測波形と比較することにより解析結果の信頼性を確認することができます。

   

測定時間および解析時間など(概算) ↑上へ戻る

   

測定:500m/1日
解析:500m/半日

   

数値実験例 ↑上へ戻る

   

 左の図は数値実験に用いたモデルです。このモデルに対して差分法を用いて理論的な波形を計算しました。理論波形に対して高精度表面波探査の解析を適用した結果が下の図です。概ね正しい速度構造が得られていることがわかります。

   

現場実験例 ↑上へ戻る

   

 つくば技術開発センターにおいて高精度表面波探査の実験を行い、高精度屈折法地震探査および反射法地震探査の結果と比較しました。図中左端の赤点線で囲んだ範囲は、地下室を掘削後に埋め戻した範囲ですが、高精度表面波探査により埋め戻し範囲とS波速度構造を明瞭に把握できていることがわかります。

   

調査対象 ↑上へ戻る

   
  • 支持層・基盤層の深度確認。
  • 河川堤防などの堤体調査。
  • 地盤改良効果判定。繰り返し測定により改良効果をモニターすることも可能です。
   

適用限界 ↑上へ戻る

   

 山岳地など複雑な地形の場所には適用できません。反射法地震探査を用いることができる現場を目安として下さい。分解能はそれほど高くありませんので、概査として大局的なS波構造を把握する手段とお考え下さい。測線をグリッド状に配置すれば、広い範囲を面的に調査することができます。ボーリングを併用することにより精度を向上させることも可能です。


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